筆塚稔尚 |
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1957 香川県生まれ。1981 武蔵野美術大学 造形学部油絵学科卒業。1983 東京芸術大学 大学院 美術専攻科修了。1989-90 客員研究員/カナダ政府奨学金、アルバータ州立大学、カナダ。00-01 文化庁在外研修員 ポーランド滞在。 |
【私の絵】 |
私の絵には二つの柱があります。ひとつは「心」という見えない意識を様々な形を借りて抒情的に現した絵。もう一つは「心」をひとつの「器」や「型」になぞらえ、その留まらないありさまを色にたとえて現したものです。 |
柱といっても裏と表、右と左のようなもので、心の揺らぐ振れ幅のようなものです。 |
一見全く別の作者の様に思われてしまう私の絵ですが、これは長い間に自分が描き残したいものは「心のありさま」ということに気付いたからです。それは「むらぎも」という一語に出会ったことで確信に変わりました。 |
「むらぎも」とは心の枕詞でとても古い言葉。不思議なことに、漠然とした潜在意識が、たった一語に出会うことによってこれほど自由な意識をもたらすとは今まで経験がありません。 |
だから「心」を絵に現すことができるなら、具象とか抽象という違いは私には些細なことのように思えます。 |
ただ潜在する妄想が私の体から離れ、絵として描き残せるなら。(筆塚稔尚) |